第6回日本石綿・中皮腫学会学術集会を終えて

第6回日本石綿・中皮腫学会学術集会会長

神戸大学大学院医学研究科 地域連携病理学

河原邦光

2025年10月4日(土)~5日(日)の2日間にわたって、神戸大学医学部神緑会館記念ホール(神戸市)において第6回日本石綿・中皮腫学会学術集会を開催いたしました。180名余りの皆様にご参加頂き、盛会のうちに終えることができたことを学術集会会長として大変嬉しく思っております。神戸市での開催は, 本学会の前身である石綿・中皮腫研究会時代の2012年に大西一男先生が第19回石綿・中皮腫研究会を開催されて以来の13年ぶりの開催となりました。

今回の学術集会では、ポスター発表16題を含む40題の一般演題を発表頂きました。これに加えて、新TNM分類に関する特別講演、中皮腫の病理診断・石綿関連疾患の公的補償制度と画像診断・石綿の免疫毒性に関する3つの教育講演、石綿確定診断委員会の活動報告・肺内石綿小体計測の精度管理の2つの特別報告、現時点での内科・外科治療の果たす役割に関するシンポジウム、最新の中皮腫薬物療法の状況・中皮腫病理診断のpitfallの2つのワークショップを通じ、石綿関連疾患ならびに中皮腫の諸問題について活発な議論が繰り広げられました。また今回は、初めての試みとして、初日の最後に、16題の症例報告演題の発表を、神戸のワインとスイーツを味わいながら、座長を設けず、演者と参加者が直接討論するポスター討論の形で行いました。

2日目の午後には、市民公開講座を開催いたしました。中皮腫の診断・治療に関する病理医・内科医・外科医3名の講演と患者様2名からの講演が行われ、市民の皆様にとって貴重な情報提供の機会になったものと思っております。ただ、講演予定であった1名の患者様が学術集会前にお亡くなりになり、生前撮影されたビデオ動画での発表となりました。我々医療従事者も、これら2名の患者様の御講演をお聞きし、自らの仕事の重さを今一度認識し、明日からの診療にしっかりと向かいたいと決意を新たにした次第です。そして亡くなられた患者様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

最後になりましたが、御参加頂いた皆様、準備段階から御支援をいただきました本学会関係者様、神戸大学医学部附属病院病理部関係者様、ご支援を頂いた企業の皆様に厚く御礼を申し上げます。来年度の学術集会は、兵庫医科大学の栗林康造会長のもと、2026年9月5日~6日の2日間、兵庫医科大学で開催されます。来年もまた皆様とお目にかかれますことを楽しみにしております。

TOP