about jamig

日本石綿・中皮腫学会について

 

沿革 (概要)

設立

1994
石綿・中皮腫研究会設立
2011
特定非営利活動法人日本中皮腫研究機構設立
2019.2.22
両研究会が統合し、特定非営利活動法人日本石綿・中皮腫学会 (にほんせきめん・ちゅうひしゅがっかい)発足

目的

この学会は、石綿 (アスベスト)の健康影響 (臨床・病理・疫学等)に関心のある研究者の相互交流を図るとともに、石綿の健康影響に関する研究の発展を目指し、患者をはじめとした一般市民に対して、中皮腫、その他の石綿関連疾患に関する知識の普及をはかり、広く人類の健康と福祉の増進に寄与することを目的とする。

理事長

  • 関戸 好孝

学術集会会長

回数会長名開催地開催日
第1回関戸 好孝名古屋市2019年9月21日〜22日
第2回青江 啓介WEB開催2021年8月28日〜29日
第3回木島 貴志西宮市2022年9月17日〜18日
第4回芦澤 和人長崎市2023年9月2日〜3日
第5回藤本 伸一岡山市2024年9月28日~29日
第6回河原 邦光神戸市(予定)2025年秋(未定)

事務局

日本石綿・中皮腫学会事務局
〒663-8501
兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学8号館4階
TEL: 0798-45-6088 FAX: 0798-45-6783
E-mail: jamig@hyo-med.ac.jp

理事長挨拶

関戸好孝

本学会の2代目理事長の関戸好孝 (せきど・よしたか)と申します。本学会は2019年2月に前身となる2研究会が統合して発足した学会で、石綿関連疾患、中皮腫の診療や研究に携わる医療関係者、研究者が現在の主な会員です。

今日、我が国おいては、アスベスト曝露による石綿関連疾患、特に中皮腫の発症は増加を続け、多くの患者とご家族の方々は日々不安の中、病と闘っておられるのではないかと思います。一方で、中皮腫については免疫治療薬の開発・承認など治療法に関する大きな前進がありました。免疫療法と今までの化学療法、手術療法、そして放射線療法をどのように組み合わせればより効果が高く、より安全な治療が行うことができるのか、国内外で様々な取り組みが行われています。

新型コロナ肺炎禍で学会活動も制限されていましたが、毎年、本学会学術集会を開催いたして参りました。2022年に行われた学術集会では、石綿関連疾患・中皮腫に取り組む国内の多くの医師・研究者らが参加し、素晴らしい内容の研究発表と熱心な討論が行われました。今後のわが国における石綿関連疾患・中皮腫の予防、診断、そして治療がさらに良いものになるのではないかと、大きな期待を持たせる内容でした。

これからも本学会は関係する学会、大学・医療機関そして患者・市民の皆様方と手を携えて、我が国におけるアスベスト関連疾患に対して積極的に取り組み新たな医療を創出するとともに、患者や家族の方々に希望と安心を届けていきたいと考えています。

   

特定非営利活動法人日本石綿・中皮腫学会
理事長  関戸 好孝

組織図

組織図

役員名簿

特定非営利活動法人日本石綿・中皮腫学会 役員名簿

役名氏名所属
理事長関戸 好孝愛知県がんセンター研究所分子腫瘍学分野
副理事長木島 貴志兵庫医科大学呼吸器・血液内科学
藤本 伸一岡山労災病院腫瘍内科
理事青江 啓介山口宇部医療センター呼吸器科
芦澤 和人長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 臨床腫瘍学
稲瀬 直彦平塚共済病院院長
大久保 憲一東京医科歯科大学医学部呼吸器外科
岡田 守人広島大学腫瘍外科
加藤 勝也川崎医科大学総合医療センター放射線科
河原 邦光神戸大学医学部地域連携病理学
栗林 康造兵庫医科大学呼吸器・血液内科学
坂口 浩三埼玉医科大学国際医療センター呼吸器外科
清水 重喜近畿中央呼吸器センター臨床検査部
武島 幸男広島大学大学院医歯薬保健学研究科病理学
田中 文啓産業医科大学第2外科
谷野 美智枝旭川医科大学病院病理部
橋本 昌樹兵庫医科大学呼吸器外科
濵﨑 慎福岡大学医学部病理学講座
矢寺 和博産業医科大学呼吸器内科
芳川 豊史名古屋大学大学院医学系研究科呼吸器外科学
監事上月 稔幸国立病院機構四国がんセンター呼吸器内科
冨士原 将之兵庫医科大学放射線医学講座
顧問廣島 健三東京女子医科大学八千代医療センター病理診断科
長谷川 誠紀兵庫医科大学呼吸器外科

学術集会

今後の開催予定

第5回 日本石綿・中皮腫学会学術集会

開催日:2024/09/28~2024/09/29

会場:岡山コンベンションセンター

代表者:藤本 伸一

過去の開催履歴

第1回 日本石綿・中皮腫学会学術集会
  • 開催日: 2019/09/21~2019/09/22
  • 会場: 愛知県がんセンター研究所 国際医学交流センター
  • 代表者: 関戸 好孝
第2回 日本石綿・中皮腫学会学術集会
  • 開催日: 2021/08/28~2021/08/29
  • 会場: WEB開催
  • 代表者: 青江 啓介
第3回 日本石綿・中皮腫学会学術集会
  • 開催日: 2022/09/17~2022/09/18
  • 会場: 兵庫医科大学 平成記念会館
  • 代表者: 木島 貴志
第4回 日本石綿・中皮腫学会学術集会
  • 開催日: 2023/09/2~2023/09/03
  • 会場: 出島メッセ長崎
  • 代表者: 芦澤 和人

設立の経緯

 

Ⅰ 石綿・中皮腫研究会の設立の経緯とその後の活動

1988年 (昭和63年)から6年間続いた厚⽣省がん研修助成⾦による研究班 (北川班、成⽥班)を引継ぐ形で、⽯綿の健康被害に関⼼のある研究者の相互交流を図るとともに、⽯綿健康被害の研究の発展をめざし、1994年 (平成6年)11⽉5⽇に第1回⽯綿研究会 (古賀病院附属医学研究所.久留⽶市.世話⼈:古賀俊彦)が開催された。
研究会の役員は10数名の幹事と2名の監事よりなり、代表幹事は、北川正信 (1994年―1999年)、井内康輝 (2000年―2011年)、森永謙⼆ (2012年―2013年)、廣島健三 (2014年―2018年)が務めた。

発⾜当初は、本邦における社会の⽯綿曝露に関する認識が低く、また研究者も少ないため、欧⽶の研究から学ぶことが多かった。第4回⽯綿研究会 (⼤阪府⽴成⼈病センター)では、Dr. Hillerdal (スウェーデン、カロリンスカ研究所)、Dr. Suzuki (アメリカ、マウントサイナイ病院)、第7回⽯綿研究会 (湘南国際村)では、Dr. Gallateau-Salle (フランスの中⽪腫パネルの代表)を招き、講演をお願いした。その後、中⽪腫の診断や治療の進展がみられ、臨床医の参加も増えたため、2003年 (平成15年)から名称を⽯綿‧中⽪腫研究会に変更した。

2005年 (平成17 年)夏のいわゆるクボタショックをうけて、⽯綿環境曝露による被害者の救済制度が発⾜したが、本研究会の会員は制度の発⾜と運⽤にあたり、⼤きな役割を果した。2013年に中⽪腫におけるSMRP測定が保険適⽤の審査を受けていたが、厚⽣労働省より同検査を適切に⾏うための意⾒を求められ、2014年4⽉に「SMRP測定の提⾔」を提出し、9⽉から「可溶性メソテリン関連ペプチド」が保険適⽤となった。中⽪腫は希少がんであり、⽇常診療の参考になる書物がないため、2017年11⽉に⾦原出版に「中⽪腫瘍取扱い規約」の発⾏を提案し、⽇本中⽪腫研究機構、⽇本肺癌学会と共同で執筆し、2018年11⽉に第⼀版が発⾏された。

1999年 (平成11年)の第6回⽯綿研究会は、第1回中⽇共同⽯綿シンポジウムとして北京で開かれた。第2回中⽇共同⽯綿シンポジウムは、2009年 (平成21年)に杭州で、第3回中⽇共同⽯綿シンポジウムは、研究会解散後の2019年 (令和元年)に⻘島で開かれ、中国での現状の把握と中国の研究者への啓発に務めた。
本研究会の国内外での活動は、医学的な進歩のみならず、社会に⼤きく貢献した。

東京女子医科大学八千代医療センター  廣島 健三

回数開催日代表者名開催地会場
第1回1994年11月5日古賀俊彦久留米市古賀病院附属医学研究所
第2回1995年10月19日君塚五郎千葉市千葉県文化会館
第3回1996年11月2日中野孝司大阪市新大阪三和ホール
第4回1997年10月16日森永謙二大阪市大阪府立成人病センター
第5回1998年10月31日北川正信金沢市金沢大学医学部十全記念館
第6回,第1回中日共同石綿シンポジウム1999年7月16~17日周 安寿
北川正信
中華人民共和国北京市Beijing Rainbow Hotel
(北京天橋賓館)
第7回2000年10月14日三浦溥太郎神奈川県三浦郡葉山町生産性国際交流センター
第8回2001年11月3日坂谷光則堺市国立療養所近畿中央病院
第9回2002年7月20日井内康輝広島市広島大学医学部広仁会館
第10回2003年7月12日岸本卓巳岡山市ホテルニュー岡山
第11回2004年11月13日神山宣彦東京都港区労働安全衛生総合会館
第12回2005年11月5日田村猛夏奈良市ならまちセンター
第13回2006年10月28日木村清延札幌市北海道産業保健推進センター
第14回2007年10月13日廣島健三千葉市ほてい家
第15回2008年10月25日亀井敏昭山口市山口県総合保険会館
第2回中日共同石綿シンポジウム2009年4月16~19日張 幸
井内康輝
中華人民共和国浙江省杭州市New Century Zhijiang Resort Hangzhou
(杭州开元之江度假村)
第16回2009年10月3日松井英介岐阜市長良川国際会議場
第17回2010年10月16日酒井文和川越市埼玉医科大学川越ビル
第18回2011年10月8日芦澤和人長崎市長崎大学医学部ポンペ会館
第19回2012年10月13日大西一男神戸市ホテル北野プラザ六甲荘
第20回2013年9月28日石川雄一東京都江東区がん研究有明病院吉田講堂
第21回2014年10月11日宇佐美郁治名古屋市名古屋国際会議場
第22回2015年10月31日由佐俊和川崎市ソリッドスクエア・ホール
第23回2016年10月15日宮本顕二札幌市札幌市教育文化会館
第24回2017年10月7日東山聖彦大阪市大阪国際がんセンター
第25回2018年11月10日大林千穂奈良市奈良まちセンター市民ホール
第3回中日共同石綿シンポジウム2019年8月9~10日張 幸
廣島健三
中華人民共和国山東省青島市Expo Plaza Hotel Qingdao
(世圓寒軒酒店)
代表幹事. 第2回中日共同石綿シンポジウム. 2009年4月17日〜4月19日. 杭州,中華人民共和国
代表幹事. 第21回石綿・中皮腫研究会. 2014年10月10日. 名古屋
第3回中日共同石綿シンポジウム. 2019年8月9日. 青島,中華人民共和国
 

Ⅱ ⽇本中⽪腫研究機構 (JMIG)設⽴の経緯と必要とされた社会的背景

 

中⽪腫の急増の兆候は、⽇本の死亡統計にICD-10が導⼊された平成17年 (1995年)以後、すぐに現れている。その後、欧⽶同様に急増するが、絶対数は少なく、稀な腫瘍であることに変わりはなかった。
当時は、医療従事者以外に“中⽪腫”の存在を知る⼈は少なかったが、アスベストが中⽪腫の発⽣に関連することは、多くの医療従事者はその知識を持っていた。昭和48年の特定化学物質障害予防規則で吹き付けアスベストが禁⽌されている。それはアスベスト関連職域の⽐較的⾼濃度の曝露で発⽣する職業性腫瘍と捉えていたからである。

平成17年6⽉、兵庫県尼崎市にあるアスベスト取り扱い⼯場において、多くの従業員に中⽪腫死亡があり、⼯場周辺住⺠にも、複数の中⽪腫患者が発⽣していることを株式会社クボタが公表した。これは、連⽇、報道され、⾮常に⼤きな衝撃を社会に与えた。周辺住⺠を戦慄させ、稀な腫瘍であった中⽪腫の存在が広く知られることになり、アスベスト発癌に対する社会の関⼼が急速に⾼まった。尼崎市に限らず、アスベスト⼯場は全国に点在していた。アスベストは多⽅⾯に多量に利⽤されていたため、⼯場周囲の住⺠に限らず、既に曝露を受けた可能性のある多くの国⺠の不安を⾼めた。直ちに、全国のアスベスト取り扱い⼯場の調査が開始され、中⽪腫の疫学調査、アスベスト検診、⽯綿健康被害救済にかかわる法整備などが始まった。
当時、中⽪腫は診断の難しい悪性腫瘍であり、予後は極めて不良で、有効な治療法もない状態で、国⺠に⼀層の不安が広まった。

これらを背景に、平成18年度の科学技術振興調整費‧重要課題解決型研究等の推進に、「安全‧安⼼で質の⾼い⽣活のできる国の実現;国⺠の健康障害に関する研究開発」が課題に取り上げられた (研究期間5年)。アスベスト発癌の解明、悪性胸膜中⽪腫の診断‧治療法の開発に取り組んでいた研究者が集まり、基礎研究は⼤槻剛⺒ (川崎医科⼤学衛⽣学)、豊国伸哉 (名古屋⼤学病理病態学講座分⼦病理診断学)、関⼾好孝 (愛知県がんセンター研究所分⼦腫瘍学分野)、中⽪腫登録制度の基盤整備は⻄本寛 (国⽴がんセンターがん対策情報センター統計部がん登録室)、中⽪腫の早期診断法の樹⽴と治療法の開発は、中野孝司 (兵庫医科⼤学内科学呼吸器RCU科)、福岡和也 (同 内科学呼吸器RCU科)、⻑⾕川誠紀 (同 呼吸器外科)、辻村亨 (同 病理学分⼦病理部⾨)、⽥中⽂啓 (産業医科⼤学第2外科)らが研究班を組織し、課題「アスベスト関連疾患への総括的取り組み」を申請した。本課題が採択され、直ちに研究が開始された。
富⼠レビオ社と共同開発したメソテリン関連ペプチドは臨床に供するため臨床試験を実施した。5年間に多くの研究業績をあげたが、アスベスト発癌の潜伏期間は⾮常に⻑く、中⽪腫は増加の⼀途にあり、研究の継続が必須であった。これらが平成23年の⽇本中⽪腫研究機構 (JMIG)の設⽴につながった。

最も急がなければならない重要な課題は、急増する極めて予後不良の悪性胸膜中⽪腫に対する治療法の確⽴であった。JMIGが設⽴された平成23年には、中野孝司 (前掲)が申請した「切除可能悪性胸膜中⽪腫に対する集学的治療法の確⽴に関する研究」が、厚⽣労働科学研究費補助⾦がん臨床研究事業に採択された (研究期間3年)。これは中⽪腫の治療法の開発を第⼀とするJMIGの研究主題であり、術前化学療法に続く胸膜肺全摘出術‧術後全胸郭照射の臨床試験をJMIG-01試験、胸膜切除‧肺剝⽪術にかかわる臨床試験をJMIG-02試験として実施された。⻑⾕川誠紀 (前掲)、福岡和也 (前掲)、⽥中⽂啓 (前掲)、横井⾹平 (名古屋⼤学呼吸器外科)、岡⽥守⼈ (広島⼤学呼吸器外科)、上紺屋憲彦 (兵庫医科⼤学放射線科)、渋⾕景⼦ (⼭⼝⼤学放射線腫瘍学)、福岡順也 (⻑崎⼤学病理診断科)、副島俊典 (兵庫県⽴がんセンター放射線治療科)、下川元継 (九州がんセンター 腫瘍統計学研究室)、⼭中⽵春 (国⽴がんセンター東病院⽣物統計部⾨)、⽵之内光宏 (九州がんセンター呼吸器外科)らが研究を分担した。

JMIGの臨床試験の参画施設は、愛知がんセンター中央病院、⼤阪府⽴成⼈病センター、⼤阪府⽴呼吸器アレルギー医療センター、癌研究会有明病院、獨協医科⼤学、松坂市⺠病院、⻑崎⼤学病院、川崎医科⼤学、三重中央医療センター、国⽴がんセンター中央病院、九州がんセンター、藤⽥保健衛⽣⼤学、広島⼤学病院、近畿⼤学付属病院、産業医科⼤学病院、三重⼤学病院、名古屋⼤学病院、千葉⼤学病院、呉医療センター、都⽴駒込病院、東北⼤学加齢医学研究所、⻑崎⼤学病院、⾦沢⼤学病院、静岡がんセンター、神⼾⼤学病院、兵庫医科⼤学病院 (順不同)であった。

これらの参画施設で臨床試験を⾏うとともに、治療成績が良好であった中⽪腫症例の臨床情報を共有し、また、前臨床研究の最新の状況の把握も含めて、第1回JMIGが京都で開催された。社会の関⼼も⾼く、この様⼦は毎⽇新聞、神⼾新聞などに報道された (写真)。先⾏する欧⽶の中⽪腫の臨床試験を牽引するPaul Baas教授 (オランダがんセンター)、Joseph Friedberg教授 (ペンシルバニア⼤学)、Anna Nowak教授 (⻄オーストラリア⼤学)などを招聘し、討論を繰り返した。
JMIGは年1回開催され、10回⽬を節⽬に、同じ領域の研究グループである⽯綿‧中⽪腫研究会と併合し、⽇本⽯綿‧中⽪腫学会 (JAMIG)が発⾜した。

国家公務員共済組合連合会大手前病院  中野 孝司

回数開催日会長開催地会場
第1回2011年6月18日中野孝司京都市京都商工会議所
第2回2012年1月28日中野孝司大阪市ニューオーサカホテル
第3回2012年11月17日中野孝司京都市京都私学会館
第4回2013年8月31日中野孝司京都市京都私学会館
第5回2014年9月20日中野孝司京都市京都私学会館
第6回2015年11月14日田中文啓北九州市北九州国際会議場
第7回2016年9月3日横井香平名古屋市JPタワー名古屋ホール&カンファレンス
第8回2017年9月2日諸星隆夫横浜市ワークピア横浜
第9回2018年9月8日岡部和倫山口市YIC Studio
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